【自治体・観光地PR担当者向け】「行きたい!」を引き出すパンフレットデザインのヒントと実践例

【自治体・観光地PR担当者向け】「行きたい!」を引き出すパンフレットデザインのヒントと実践例

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はじめに

観光パンフレットの役割と効果とは?「行きたくなる」デザインで訪問意欲を高める

観光パンフレットが果たす役割とは

観光パンフレットは、地域の魅力を伝え、訪問意欲を高めるために欠かせない広報ツールです。観光案内所や宿泊施設での配布、イベントでの配布資料など、さまざまな場面で活用されており、旅先の情報収集手段として今も重要な役割を担っています。
紙媒体ならではの「手に取れる安心感」は、Webにはない価値であり、読み手の印象に残りやすいという特長もあります。
だからこそ、見た目の美しさだけでなく、読みやすさや情報の伝わりやすさを重視した“行きたくなるデザイン”が重要です。限られた紙面の中で、伝えたい魅力を的確に届ける設計が、実際の来訪につながる一歩になります。

情報発信だけで終わらせない、“体験への共感”が鍵

観光パンフレットの本来の目的は、情報を伝えることだけではありません。
「行ってみたい」「体験してみたい」と感じてもらえるかどうか——。その鍵を握るのは、地域で過ごす時間や空気感への“共感”です。
心を動かすパンフレットには、感性に響く写真や言葉、そして情報の流れや読みやすさにまで配慮した設計が欠かせません。
たとえば風景写真ひとつとっても、「何が写っているか」だけでなく、「その場所でどんな時間を過ごせるか」が想像できる視点が大切です。
キャッチコピーも、「○○が名物です」と事実を伝えるだけでは、人の心は動きません。
「○○で、思わず二度見したくなる発見がそこに!」のように、体験や感情にフォーカスした表現こそが、“自分ごと”としての関心を引き出します。
そしてこうした考え方は、パンフレットに限らず、ポスターや地域ブランディングなど観光プロモーション全体に共通するものです。

当社が手がけた四国観光のポスターでは、各県の方言を活かしたキャッチコピーと、世界や日本の観光地と対比する構成によって、「行ってみたい!」という気持ちを引き出す工夫を凝らしました。そのデザイン事例は、下記リンクよりご覧いただけます。

四国での広域観光を全国的に発信する

四国ツーリズム創造機構

四国での広域観光を全国的に発信する

伝わる観光パンフレットをつくるための5つのポイント

せっかくつくる観光パンフレットだからこそ、「見てもらう」だけで終わらせず、「行ってみたい」と思ってもらえる一歩先の仕掛けが必要です。そのためには、デザインや構成に工夫を凝らし、読み手の共感や行動につながるような視点を持つことが大切です。ここでは、パンフレット制作において意識すべき5つのポイントをご紹介します。

1. ターゲットを明確にする

最初に行うべきは、「誰に届けたいか」をはっきりさせることです。例えば、子育て中のファミリーを想定するなら、遊び場や体験コンテンツの情報を前面に。シニア層がターゲットなら、落ち着いた雰囲気やバリアフリー対応の案内が欠かせません。外国人観光客に向ける場合には、多言語対応や文化背景への配慮が求められます。
このように、ターゲットによって必要な情報も、語り口も、デザインの方向性も大きく変わってきます。ターゲット設定は、パンフレット全体の設計図ともいえる重要なステップです。

たとえば、旅慣れた知的旅行者層をターゲットに捉え、「上質を知るおとなの城下町大洲」というコンセプトでデザインした大洲市役所|一般社団法人 キタ・マネジメント様のパンフレットもその一例です。ペルソナに合わせてトーンやビジュアルを丁寧に設計した当社の実績は、ぜひ下記リンクからご覧ください。

地域DMOとの連携によるシティブランディング

大洲市役所|一般社団法人 キタ・マネジメント

地域DMOとの連携によるシティブランディング

2. 魅力をビジュアルで伝える

写真やイラストといったビジュアルは、パンフレットにおいて最も重要な要素のひとつです。美しい自然の風景、旬の料理、伝統行事、地域の人々の笑顔──それぞれの写真が語りかける物語には、テキストでは伝えきれない情報や感情が詰まっています。
また、空撮やマクロなど、視点に変化をつけることで、印象に残る一枚に仕上がります。近年では、手描き風のイラストやピクトグラムを取り入れた親しみやすい表現も人気です。
見るだけで「ちょっと行ってみたい」と感じるようなビジュアルの力は、パンフレットの第一印象を大きく左右します。

3. 読みやすいレイアウトと文字設計

魅力的な内容も、読みにくければその価値が伝わりません。文字の大きさや行間、色のコントラスト、余白の使い方など、細かなレイアウト設計が読みやすさを左右します。
特に高齢者や外国人観光客にも配慮する場合は、視認性の高いフォントやピクトグラムの活用、視線誘導を考慮した構成が重要です。読むことにストレスを感じさせず、自然に情報が頭に入ってくるような「読みやすさの設計」が、パンフレット全体の信頼感にもつながります。

4. 行動につなげる導線設計

パンフレットは「読ませるもの」ではなく、「動いてもらうもの」。そのためには、情報の流れや配置、ページの構成がとても重要です。
観光スポットを紹介する際も、地図との連携やモデルコースの提示、アクセス情報や所要時間の明示など、実際の行動をイメージできる工夫を盛り込むことで、読み手の一歩を引き出す導線が生まれます。「読んで満足」ではなく、「読んで動く」ための構成こそが、パンフレットの真価を高めます。

5. 地域らしさとストーリー性を盛り込む

どこにでもある情報だけでは、印象には残りません。重要なのは、その地域だからこそ語れるストーリーをしっかりと伝えることです。
たとえば、「○○港では、早朝に水揚げされたばかりの魚を使った朝ごはんが味わえる食堂があり、地元の漁師さんの話を聞けることもあります。」といった背景を加えることで、読者に「この地を訪れたくなる理由」が生まれます。
最近では、サステナブルツーリズムや地域の暮らしに触れる体験型観光など、“体験価値”を中心に据えた情報設計も注目されています。その土地の想いや文化、歴史がにじむようなストーリーを編み込むことで、観光パンフレットは単なる情報ツールではなく、地域の魅力を映し出すブランドメディアへと進化していきます。

実際の事例で見る、観光パンフレットづくりの工夫

当社では、地域の個性を引き出し、伝えることにこだわった観光パンフレットを数多く手がけてきました。戦略設計から編集・デザイン、印刷、流通までトータルでご支援できるのが私たちの強みです。
たとえば、愛媛県伊予市の観光パンフレットリニューアルでは、「伊予市の魅力を再発見する」をテーマに、F1層(10~34歳女性)をターゲットに設定。「食」に焦点を当てた誌面構成で、近隣市との差別化を図りました。
地元カメラマンとライターによる丁寧な取材を通じて、リアルであたたかみのある記事を制作。情報の信頼性と親しみやすさの両立を目指しました。配布先も市外へと広げ、PDFをWeb公開するなど、流通戦略も含めて設計。発行からわずか3カ月で増刷されるほど好評を博しました。
地域を知り、ターゲットに寄り添う視点が、魅力を最大限に伝えるパンフレットを生み出します。詳しい制作の背景は、ぜひ下記のリンクからご覧ください。

伊予市の魅力を再発信するツールの作成

伊予市役所

伊予市の魅力を再発信するツールの作成

SEKIディレクターのこだわり

SEKIディレクターのこだわり

これから観光に力を入れていこうとしているクライアントの、ともすると市外への観光露出がまだ弱い印象のあった状況を考慮し、『来て・楽しんで・発信してくれそう』な層をターゲットに設定しました。それに近いスタッフを招集して、まずは現地調査をしたところ、発見や出会いが多く予想以上に楽しかったのです。
クライアントの要目に「インバウンドも視野に」ともありましたが、現実的にまずは行動する女子が楽しめなければ!と振り切って、ターゲットに共感してもらえる企画・編集・デザインを目指しました。また、市外への訴求は最大目標でありつつも、市民のみなさんにもっと観光としての資源や価値を再認識してもらいたい、つまり『市民の観光意識の醸成』という狙い・思いも強くあり、それも盛り込んだつもりです。
発刊当時の反響が良かったことに安堵と喜びがありましたが、その後同パンフの第2弾を制作する機会をいただいた折、取材の先々で1作目パンフの感想や、もっと知ってほしい市の魅力などの話題が自然に出来たこともとても嬉しいことでした。

パンフレット制作でよくある壁と、解決の手がかり

観光パンフレットをつくるとき、「魅力をしっかり伝えたい」という思いが強いほど、あれもこれもと情報を盛り込みがちです。でも、情報が多すぎると、かえって読者は何を見ればいいのか分からなくなってしまいます。
そこで大切なのが、「このパンフレットで一番伝えたいことは何か?」を明確にすることです。その軸を元に、情報の優先順位を整理していきましょう。伝えきれない部分は、二次元コード(QRコード)などを使ってWebへスマートに誘導するのもおすすめです。
また、読んでもらうだけでなく、「実際に行ってみたい」「体験を予約したい」と思ってもらえるような“次のアクション”を促す工夫も重要です。「予約はこちら」「モデルコースの詳細を見る」など、導線を紙面内に自然に設けると効果的です。
さらに、完成後の活用も成功のカギ。誰に、どこで、いつ届けるのかをしっかり考え、観光案内所や駅、イベント会場など、ターゲットの目に留まる場所で配布しましょう。紙とデジタルを組み合わせれば、情報発信の可能性はもっと広がります。

まとめ|観光パンフレットを通して「来訪意欲」を高めよう

観光パンフレットは、地域と人をつなぐ大切な“入り口”です。行ってみたいと思ってもらえるかどうかは、情報の見せ方や語り方によって大きく変わります。
だからこそ、「誰に、どう感じてほしいか」「どんな行動を促したいか」という視点で設計されたパンフレットこそが、“届くツール”になります。
当社(セキ株式会社)では、観光パンフレットはもちろん、企業や自治体の広報冊子、ブランドブック、地域ブランディングに関わる各種ツールまで、幅広い実績があります。
「何から始めればいい?」「一度見直してみたい」──そんな段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。

セキの実績まとめはコチラ(観光)

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