
ロゴ制作で失敗しないために|デザインの種類と選び方を事例から学ぶ
- デザイン・ブランディング
ブランディングにおいて、認知を広げたり、アイデンティティを示したりと企業や商品・サービスの「顔」として重要な役割を果たすのが「ロゴ」です。商品や広告媒体などあらゆるものに使用され、日常的に目にすることの多いロゴですが、いざ自社のロゴを制作するとなると、どんなデザインが良いのか悩んでしまいますよね。ロゴを社内で制作する、あるいは制作会社への依頼をする際には、予めロゴの基本的な定義や特徴を理解しておくことで、より自社らしいロゴデザインをイメージしやすくなります。
本記事では、ロゴとは何か?という基本的な情報から、よく使用されるロゴの種類や特徴をご紹介し、実際に当社(セキ株式会社)のデザイン事例やディレクターの経験談も交えてわかりやすく解説します。自社商品・サービスのブランディングやロゴ制作をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ロゴ=ロゴマーク?ロゴタイプ・シンボルマークとの違いについて
もともと「ロゴ」という言葉は、企業名などの文字をデザインした「ロゴタイプ」のことを指していました。
しかし現在では、文字だけでなく、図形で表現された「シンボルマーク」や、それら2つを組み合わせた「ロゴマーク」も含めて、区別なく「ロゴ」あるいは「ロゴマーク」と呼ばれることが一般的になっています。
このように「ロゴ」や「ロゴマーク」は幅広い意味で使われていますが、デザインを検討する際には「ロゴタイプ」「シンボルマーク」「ロゴマーク」の3つに分けて考えると、自社内での認識共有や、外部のデザイナーとの連携もスムーズになります。
ロゴにはどんな種類がある?特徴やメリットについて
世の中には金融や観光、教育機関、スポーツクラブに至るまで多種多様なロゴデザインがあります。一見複雑なようにも思えますが、多くの場合が「ロゴマーク」「ロゴタイプ」「シンボルマーク」という基本の考えから成り立っています。それぞれの種類の特徴やメリットを知っておくことは、自社らしいロゴを考える際にもとても役立ちます。
次の表では、ロゴタイプ、シンボルマーク、ロゴマークのそれぞれの特徴とメリットをまとめているので、ぜひ迷った際の参考にしてください。
ロゴの種類 | 特徴 | メリット |
---|---|---|
ロゴタイプ (Logotype) | 文字(社名・ブランド名)をデザインしたロゴ。図形を含まない。 | ブランド名の認知を高めやすく、読みやすく伝わりやすい。 |
シンボルマーク (Symbol Mark) | ブランドの理念や世界観を図形のみで表現。文字は含まない。 | 言語に依存せず、視覚的に強い印象を与える。グローバル展開に有効。 |
ロゴマーク (Logomark) | ロゴタイプとシンボルマークを組み合わせたロゴ。 | 認知性と視認性を両立でき、柔軟に使い分けしやすい。 |
【事例紹介①】観光施設を象徴したロゴ制作
次に、当社がブランディングを実施した観光施設「盤泉荘」のシンボルマーク・ロゴタイプの事例をもとに、制作の考え方やこだわりをご紹介します。
愛媛県大洲市「盤泉荘」
愛媛県大洲市の指定有形文化財「盤泉荘(旧松井家住宅)」は、大正時代に別荘として建てられた歴史のある建築です。この「盤泉荘」のブランディングのために、はじめに着手したのがシンボルマーク・ロゴタイプのデザイン設計です。松井家を象徴する井桁と建物の石垣を組み合わせたシンボルマークは、歴史や格調高さを表現しています。地域の景観と調和するようにデザインし、リーフレットや展示空間などにも展開しています。
大洲市市役所「盤泉荘」ブランディング実績の詳細は下記リンクよりご覧ください。

SEKIディレクターのこだわり
観光施設のシンボルマークやロゴタイプには、その資源固有の魅力を視覚的に表現し、ブランドの確立やイメージ向上を担う役割があります。この「盤泉荘」は、老朽化しかけていた家屋を再整備し、新たな観光施設としての運営を計画していました。そのため、観光施設としてのブランディングをスタートするにあたって、シンボルマークという“核”が必要でした。デザインにあたっては、高台に建てられた家屋を支える石垣をアイコン化し、記憶に残りやすく、かつ「盤泉荘」の趣に寄り添うような表現を目指しました。
どんなロゴを作るべき?考え方のポイント
ロゴを制作する際は、見た目の印象だけでなく、企業やブランドの戦略や将来的な展開を踏まえて種類を選ぶことが重要です。ここでは、ロゴの種類を選定する際にチェックしたい4つのポイントをご紹介します。
業種・業態に合っているか?
ロゴには、「信頼感」や「革新性」など、業種ごとに期待されるイメージを視覚的に伝える役割があります。たとえば、法律事務所や金融業ではフォーマルで落ち着いたロゴタイプが好まれる一方、エンタメやベンチャー企業では遊び心のあるシンボルマークやレターフォームが映えることも。業種の特性と親和性の高いロゴ種類を選ぶことで、受け手の印象を適切にコントロールできます。
将来的な展開(グローバル・Web・印刷など)を考慮しているか?
ロゴは名刺やパンフレットだけでなく、SNS、Webサイト、サイネージ、ノベルティなど多様な媒体で使われます。また、グローバル展開を見据える場合は、「言語に依存しない視認性の高いマーク」や「文化差による誤解が生じにくいデザイン」が求められます。媒体や展開方法に応じて汎用性があるかどうかも、種類選びの重要な判断軸です。
使用シーンでの視認性・使いやすさ
どんなに美しいロゴでも、小さく表示されたときに判別しにくい、複雑すぎて再現が難しい場合は実用面で課題が残ります。ロゴの種類によっては、シンプルな構成のほうがアイコン化しやすく、デジタル媒体との相性も良くなります。「縦横どちらの配置でもバランスが取れるか」「モノクロや単色でも意味が伝わるか」といった、実際の運用を想定した視点も重要です。
ブランドの方向性・価値観が表れているか?
ロゴは、ブランドの「らしさ」を凝縮して伝えるもの。ビジョンや価値観を表現できるロゴの種類を選ぶことが、ブランドの個性や差別化につながります。たとえば、歴史や信頼感を重視する場合はエンブレム型やシンボルマークを、革新性や柔軟性をアピールしたい場合は抽象的な図形やアルファベット主体のロゴタイプが適していることもあります。
ロゴは一度決めると長く使うもの。そのため、社内外でブランドの伝え方を統一するためにも、慎重に選ぶ必要があります。
【事例紹介②】商品の魅力・ブランドの想いを表現したロゴ制作
愛媛県今治市にある「遊技場の島」専門メーカー芳栄工業株式会社様とともに、当社が製品開発の段階から携わらせていただいた2つのブランドのロゴをご紹介します。
『FORMEE(フォーミー)』
『FORMEE』は「あったらいいな」を叶える小物家具を取り扱うブランド。シンボルマークには人気商品であるハウス型シェルフをモチーフにし、一人ひとりに寄り添うブランドの温もりや、やわらかな無垢材の魅力を表しています。
『HUG KAGU(ハグカグ)』
『HUG KAGU』は大切なペットのことを一番に考えた、ペットのための家具ブランドです。ブランド名と連動させたペットをハグする形のロゴは、エンブレム型でまとまりの良さを出し、ペットのために作られた「おすみつき家具の証」という印象を与えています。
芳栄工業株式会社様の家具ブランド『FORMEE』『HUG KAGU』の実績の詳細は下記リンクよりご覧ください。
ロゴを作ったら|使用ルール(レギュレーション)を決めよう
せっかく魅力的なロゴを作っても、運用ルールが決まっていなければ、媒体ごとに見た目や印象がバラつき、ブランドイメージが損なわれるリスクがあります。ロゴデザインが決まったら、使用方法を明確にしたレギュレーションの策定が欠かせません。SNSをはじめとした各種媒体においての取扱い方法や、カラー、サイズ、配置のルール、NG使用例などをまとめておき、社内外の制作物で一貫した使用ができるようにしましょう。
時代に合わせて変化していくロゴ
時代や事業の変化、顧客からの声に合わせてロゴを「進化」させるケースも増えています。たとえば、新しいサービスに合わせてロゴを再設計する場合や、理念やミッションの変更に伴うリブランディングの際にシンボルマークやロゴタイプを刷新することもあるでしょう。
ただ、ブランド資産を引き継ぎながら刷新するには、慎重な検討と設計が必要です。変更する際には、社内外への丁寧な説明や、徐々に移行するスケジュールも大切になります。リブランディングに伴ったシンボルマークの変更をする際には、既存のイメージを損なわないように配慮する必要があります。
まとめ|ロゴデザインの種類と選び方を事例から学ぶ
いかがでしたか?今回はロゴとは何か、基本的な定義から、ロゴの種類・特徴やデザインの考え方について当社事例とともにご紹介しました。ひと口に「ロゴ」といっても、様々な種類があり、企業や商品・サービスを象徴するのに最適な形でデザイン設計がされています。どういったイメージを持たれたいのか、あらゆる媒体への展開も想定し、デザインに落とし込むことで、ブランディングやマーケティング施策をより効果的に打ち出すことができるでしょう。
当社では商品・サービスのもつ魅力を表現し、ブランディング効果を訴求したロゴ制作の実績が多数あります。自社商品・サービスのブランディングやロゴ制作をご検討中の方は、ぜひお問合せください。