
Instagram(インスタグラム)で地方の魅力発信|地域ブランディングに効くSNSマーケティングの始め方
- WEB・デジタルマーケティング
目次
はじめに
近年、SNSマーケティングは幅広い世代にアプローチできる手段として、企業だけでなく地方自治体でも積極的に取り入れられています。なかでもInstagram(インスタグラム)は、写真や動画を通じて感覚的に魅力を伝えられることから、観光や地域資源のPRとの相性がよく、地方の魅力を発信するうえで定番のツールとなっています。
当社(セキ株式会社)でも、地域の個性や魅力を伝える地域ブランディング施策の一環として、Instagram運用に数多く取り組んでいます。たとえば、地元の風景や食文化を切り取った投稿や、キャンペーン企画などを展開することで、地域への関心を高め、交流やアカウントのフォロワー数アップにもつなげています。
本記事では、Instagramのを活用したSNSマーケティングを成功させるための視点や、運用のコツ、そして当社の実績とともに、効果的な活用法をご紹介します。まだ知られていない地域の魅力をどう発信するかお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもSNSマーケティングとは?
SNSマーケティングとは、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を駆使して商品やサービス、企業や地域について知ってもらったり、ユーザーとの接点を築いたりするためのマーケティング手段です。
広く活用されている主なSNSとしては以下のものがあります。
SNS | 特徴 | 向いている業種・内容 |
---|---|---|
写真・動画が中心。ビジュアルで魅力を伝えられる | 観光・飲食・ファッション・地方の魅力発信 | |
X(旧Twitter) | 拡散力が強く、リアルタイム性に優れる | ニュース・時事・若年層向けトピック |
TikTok | ショート動画。エンタメ性とバズ効果が大きい | 若年層向け・体験型・プロモーション向け |
実名ユーザー多く、長文投稿やイベント向き | BtoB・地域の年配層への発信にも強い |
SNSマーケティングではそれぞれの特徴を把握したうえで何をどう活用していくかを選択していくと良いでしょう。
スマホネイティブ世代の情報収集はSNS中心
Z世代を中心としたスマホネイティブ層にとって、情報収集の手段はスマートフォンとSNSが主流です。なかでもInstagram(インスタグラム)は、写真や動画といった“ビジュアル”中心のSNSで、投稿コンテンツがフィード(一覧)で表示され、視覚的にユーザーの興味を引くのが大きな特徴です。
デフォルト設定では、「おすすめフィード」といって興味や関連性の高い投稿が独自のアルゴリズムでタイムライン上に表示され、より関心度の高いユーザーに投稿が届きやすい設計となっています。
地方の魅力をもっと多くの人へ届けるには?Instagramが効果的な理由
写真や動画で「体感」を届けられるInstagramの強み
複数のSNSを活用する中でも、Instagramの最大の特長は写真や動画が主役である点です。特に1枚目のビジュアルは投稿の印象を左右するため、魅力的な写真で興味を惹く工夫が欠かせません。「ここだけの絶景」「珍しい瞬間」「地元グルメ」などの写真や動画は、その場を体験したかのような感覚を与え、まだ知られていない地域にも興味を持ってもらうきっかけになります。
視覚で心をつかむことで、観光や移住といったアクションにもつながりやすくなります。
地域発信を「見つけてもらえる」|ハッシュタグと位置情報
XやFacebook、TikTokと比べると拡散力や即時性に劣ると言われるInstagramですが、ハッシュタグを活用するなど、工夫次第で検索性や拡散力を補い、より「欲しい人」に「求めている情報」を届けやすくすることが可能です。
・ハッシュタグ投稿で共感と発見を広げる
Instagram運用において、ハッシュタグは情報拡散のカギとなる要素です。投稿に「#観光スポット」や「#○○の絶景」などのタグをつけることで、同じ関心をもつユーザーに見つけてもらいやすくなります。特に「#地域名+体験」「#ご当地グルメ」のような地域性と検索意図がマッチするハッシュタグは、検索流入にも強く、地方の魅力発信に効果的です。
また、自治体や観光団体がオリジナルのハッシュタグを設定し、フォトコンテストや参加型企画に活用することで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれやすくなり、アカウントの認知拡大やエンゲージメント向上にもつながります。さらにInstagramのインサイト機能を使えば、保存数やタグ別の反応などから、ユーザーの関心を分析することも可能です。
・位置情報の設定で信頼性とリアルな魅力をプラス
Instagramでは、投稿に位置情報を設定するだけで地域の魅力を“発見される”チャンスが広がります。「○○市」や「○○温泉」など、地名から直接投稿を検索するユーザーも多く、観光やお出かけ前にチェックされる傾向にあります。地図上で表示されることで「ここに行ってみたい」といった行動促進にもつながり、実際の訪問や周遊につながる導線として活用できます。
また、位置情報が付いている投稿はリアリティや信頼性も高まり、地域への共感・期待値の向上にも貢献します。同じ場所の投稿が蓄積されると、Instagram上で「話題のスポット」として自動的に広まりやすくなるという二次的な効果も期待できます。
見逃せない「旬の魅力」を発信できる|ストーリーズとリール
・ストーリーズで「いま」を届ける
ストーリーズは24時間で自動的に消える短編投稿。気軽に更新でき、イベントの様子や今日の一枚など、リアルタイム性の高い情報発信にぴったりです。
さらに、投票機能や質問機能などを使えば、ユーザーとのコミュニケーションも可能に。フォロワーとの接点を増やし、地域に対する親しみや関心を育てるツールとして活用できます。
・リール動画で新たな層にアプローチ
リールは、15〜90秒のショート動画を作成・共有できる機能です。フォロワー以外のユーザーにも表示されやすく、地域の知名度アップや若年層へのアプローチに効果を発揮します。
風景、グルメ、お祭りなど、テンポよく編集されたリールは、思わず「行ってみたい!」と感じさせる大きなきっかけになります。
【事例紹介】Instagramを活用した地方の魅力発信
それでは次に、実際にInstagramを活用した地域発信の事例をご紹介します。ここでは当社が支援したプロジェクトを取り上げ、どのようにInstagramが地方PRに活きたのかを見ていきます。
愛媛県宇和島市|Instagramで広がる宇和島の魅力
愛媛県宇和島市と連携して実施した「宇和島ぐるりプロモーション」では地域の観光資源や暮らしの魅力を“リアルに・親しみやすく届けるため、Instagramアカウントのコンセプト設計・コンテンツ企画、投稿などの運営、広告作成およびランディングページを設計しました。
Instagram投稿ではまずターゲット設定を明確にすることからスタート。「カメラ女子」や「食べ歩き女子」「アクティブ女子」といった、異なる関心を持つ3つのペルソナ像を設定し、それぞれにマッチしたコンテンツを発信していきました。
また、宇和島市役所の職員の方が運営を継続していけるよう、コンテンツ企画や撮影、画像加工方法などを現地レクチャーや講習会実施、マニュアル作成などでサポートさせていただきました。お客様の丁寧な運用継続もあり、フォロワー数は現在ではご相談時の約5倍に増え、宇和島を訪れるきっかけづくりに貢献しています。
Instagram広告においては地域プロモーションの成功事例として、第41回愛媛広告賞 インターネット広告部門 優秀賞もいただいています。

SEKIディレクターのこだわり
宇和島市様ではこちらのSNS運用以外にも観光・移住促進関連の事業でたくさんの事業にかかわらせていただきました。その中でターゲットに想定されている方々にどのように地域資源や魅力を届けていくか、協議しながら一緒に模索させていただく機会を多々いただき、方針にあわせたコンテンツの発掘、制作、講習会(撮影・ライティングなど)などご支援させていただいた事例があります。
こちらの「うわじま女子旅プロジェクト|#宇和島ぐるり」については、職員の皆さまの宇和島愛をひしひしと伝えていただき、当社のメンバーやパートナーさんが一緒に現地で海、カフェ、田んぼ、渓谷・・いろいろな場所を巡らせていただいたのもとても素敵な機会でした!
▼愛媛県宇和島市Instagram運用の実績について詳しくは下記リンクをご覧ください。
効果的なInstagram運用のポイント
次に、Instagram運用のポイントをまとめました。
「誰に」「何を」届けたいのかを、最初にクリアに
Instagramの運用では「とりあえずきれいな写真を投稿する」だけでは、ユーザーの関心や共感を十分に得られない可能性があります。そこで大切なのは「誰に向けて、何を伝えるか」という設計です。例を挙げると
• 地元を知らない若い世代に、まずは地域の名前を知ってもらいたいのか(認知拡大)
• ファンになってもらい、リピーターとして訪れてほしいのか(ファン育成)
• 特産品や観光イベントなどの情報を届けて、実際の行動につなげたいのか(集客・販促)
こうした目的に合わせて、届けたい相手(ターゲット)を具体的に想定しながら運用することで、投稿にまとまりが生まれ、ユーザーの心にも届きやすくなります。
コンセプトと世界観を揃えて、アカウントに「らしさ」を
Instagramで印象を残すには、「統一感のある見た目」も大切です。投稿する写真や動画の色味・構図・フォント・テキストのトーンなどを揃えることで、アカウント全体がひとつの「世界観」としてユーザーに伝わります。
たとえば地方発信の場合、「人のあたたかさ」「ゆたかな自然」「四季の移ろい」といった地域らしさをビジュアルで表現することで、その土地にしかない魅力がぐっと伝わります。統一感のあるフィードは、初めて訪れたユーザーの心をつかみやすく、フォローや保存にもつながる大きな要素です。見た目を整えることは、ただのおしゃれではなく、地域ブランディングの土台づくりでもあるのです。
継続は力なり!「安定した発信」がエンゲージメントにつながる
Instagramで効果的に地域の魅力を発信していくには、「継続的な投稿」が大切です。アルゴリズムの評価やユーザーの記憶に残るためにも、コンスタントな更新は欠かせません。
とはいえ、毎日投稿する必要はありません。週1〜3回を目安に、無理なく続けられるペースを保つのがSNS運用をしていきましょう。
ただし、「とりあえず投稿する」だけでは思うような効果は得られません。届けたい相手(ターゲット)がどんな情報を求めているのか、どんな投稿が競合と差別化できるのかといった視点を持つことが、その地域ならではの魅力の発信となり、本当の意味で地域を好きになっていただけるユーザーとのコミュニケーション形成につながります。
参加したくなる!「ユーザー巻き込み型キャンペーン企画」
Instagramで行えるユーザー参加型キャンペーンには次のようなものがあります。
・「#」で広がる!魅力を共有するハッシュタグ投稿キャンペーン
「#○○の春フォト」「#わたしの推し○○市」「#○○温泉旅の記録」など、特定のテーマや地域の魅力に関連したハッシュタグを使って自由に投稿してもらいます。
・「答えてみたい!」を引き出すストーリーズ企画
ストーリーズ機能を使って「この写真はどこの風景?」「地元グルメで人気なのはどっち?」など、参加型のクイズを行います。ストーリーズ機能を使うことで、気軽にユーザーに参加意識をもってもらうことができます。
・短尺動画で魅力を発信!リールチャレンジで盛り上げる
「#○○ダンスチャレンジ」「#3秒で伝える○○の魅力」などのハッシュタグで地元のダンス・方言・食文化などをテーマにした短尺動画投稿の呼びかけ。特定の音源や構成を指定することも。
・フォロワーの参加を後押し!コメント・いいね型プレゼント施策
「この投稿にいいね&コメントで応募完了!」「@友達をタグ付けしてシェアしよう!」などのタグで参加を呼びかけ、特定の投稿にリアクションしてもらうことで、地域特産品などが当たるキャンペーン。
こうしたキャンペーンは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の増加、地域への愛着醸成、アカウントの認知拡大につながり、地方自治体や観光団体のInstagram運用施策として効果を期待できます。
地域の魅力を「地元発の声」で伝える
地域の魅力を発信するうえで、欠かせないのがその土地に暮らす人たちの言葉です。地元で日々を過ごす人のコメントやおすすめを紹介することで、アカウントに親しみや信頼感が生まれ、投稿の魅力が一層高まります。たとえば、こんなリアルな声が効果的です。
・商店街の店主が語る、地元グルメのこだわりや裏話
・観光案内所スタッフが紹介する、知る人ぞ知る穴場スポット
・地域イベントに携わる人の想いやエピソード
こうした地元発信のストーリーを丁寧に届けることで、単なる観光情報では伝えきれない、その地域ならではの背景や空気感まで伝えられます。結果として、地域ブランディングの厚みと説得力を高めることにもつながります。
自社で発信を始める前に
ここまでInstagramを活用した地方情報の発信のコツをご紹介してきました。Instagramの投稿は誰でも簡単に始められるのが良い点ですが、いざ始める前に、どのようなアカウント運用をしていくのか計画し、きちんと運用の方針を整理しておくことをおすすめします。
計画的な投稿スケジュールとKPIの設定
投稿スケジュールは感覚的になりがちですが、ついつい忘れてしまったなどを繰り返し更新が滞ることは避け、予め週ごとの投稿テーマを設定したり、更新する曜日や時間を決めたりと、投稿スケジュールを作っておくのが理想です。また、「保存数」「プロフィール遷移数」「位置情報のクリック率」などのKPIを定めておくことで、どういった投稿が良かったのか、どこが改善点なのかといった分析ができます。
ただし、地域ブランディングを目的としたInstagram運用の場合、必ずしも数字を出す=正しいということではないと考えています。あくまで地元の魅力や、「らしさ」を表現するということを念頭に、数字は施策をするにあたっての指標の一つととらえておくのが良いでしょう。
自社でやるか、パートナーと協力するか
ターゲット層や発信する情報、目標を精査するにはなかなかの労力が伴います。地域の魅力をどのように発信していくか、あるいは自分たちでも気づいていない良さを引き出す工程をSNSマーティングのパートナー企業や外部のディレクターと一緒に進めるというのも、結果を出すための手段です。
当社では、Instagramの運用に限らず地域ブランディングとしてWEBサイト制作等のプロモーションの豊富な実績がございます。地域プロモーションを検討中の地方自治体ご担当者様、SNS活用にお悩みのご担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
SNSを活用した地域ブランディングの実績はコチラからご参照いただけます。
まとめ|Instagramは地方の魅力を広げる力を持っている
SNSには様々な媒体がありますが、ターゲット層や強みはそれぞれ異なります。Instagramは「旅行」や「グルメ情報」にアンテナを張ったアクティブな層へアプローチするのにぴったりのSNSといえるでしょう。Instagramをうまく活用すれば、これまで届かなかった層へも魅力を発信することができます。
また、一過性の話題作りだけではなく、地域に根ざした魅力を育てていくことのできるツールでもあります。ぜひ、地域ならではの価値を、プロの視点も取り入れながら届けていきましょう。