
【事例で深掘り】採用ブランディングで企業の魅力を“見える化”する方法
- WEB・デジタルマーケティング
- デザイン・ブランディング
近年、採用において「仕事内容や会社の魅力がうまく伝わっていない」と感じている企業さまも少なくありません。仕事探しの中心がWEBへと移る中で、企業の魅力を“どのように見せるか”が、採用の成果に影響する場面も増えてきています。
本記事では、当社(セキ株式会社)の実績をもとに、採用ブランディングを通じて企業の魅力を“見える化”する考え方と実践ポイントをご紹介します。
「採用に課題を感じているご担当者さま」「採用サイトのリニューアルや新設を検討されているご担当者さま」は、ぜひヒントを見つけてみてください。
目次
採用が難しくなっている理由
多くの企業さまにおいて、採用に関する課題として挙がるのが、仕事内容や働く姿の“伝わりにくさ”です。特に、自社の商品やサービス、日々の業務が一般の方の目に触れる機会が少ない場合、求職者が会社のイメージを持ちにくくなることもあります。
こうした背景には、近年の採用市場そのものの変化も大きく影響しています。
現在は、かつてない売り手市場といわれる状況が続いており、2026年春卒業予定の大学生・大学院生の求人倍率は1.66倍と、企業数に対して学生数が大きく不足している状態です。
企業が「選ぶ側」ではなく、「選ばれる側」になる中で、求職者に十分な情報を届けられていない企業ほど、不利になりやすい環境になっているといえるでしょう。
「どんな仕事をしている会社なのか」「どんな人が働いているのか」「どのような一日を過ごすのか」といった情報が十分に伝わらないままでは、応募するかどうかを判断しにくくなってしまいます。その結果として、応募が思うように集まらなかったり、若手人材からの関心が高まりにくかったりすることも少なくありません。
一方で、仕事や会社について調べる方法も変化し、いまではSNSやWEB検索を通じて情報を集めることが当たり前になってきました。資料や説明会だけでなく、オンライン上の情報をもとに企業を比較・検討する求職者が多く、“WEB上でどのように魅力を伝えているか”が、選ばれる企業のポイントのひとつになってきています。
こうした中で、さらに課題になりやすいのが「情報の整理が十分にできていないこと」です。仕事内容や働く環境についての説明があいまいなままだったり、採用ページが長く更新されていなかったり、求人媒体だけに頼った情報発信になっていたりすると、求職者が求めている情報にたどり着けず、比較検討の段階で選択肢から外れてしまうこともあります。
採用ブランディングで解決
そこで役立つのが、採用ブランディングという考え方です。
企業の魅力や働く現場のリアルをあらためて整理し、求職者が知りたい情報を“伝わる形”に整えていくことで、採用に関するさまざまな課題は、少しずつ改善につながっていきます。
採用ブランディングによって、特に整理しやすくなるのが、次の3点です。
- 魅力や働く姿がうまく伝わらないという課題
- 競合企業との違いが分かりにくいという課題
- 情報不足から起こるミスマッチや早期離職の課題
これらはいずれも、多くの企業が抱えやすい「情報のギャップ」と深く関わっています。
採用ブランディングの出発点は「企業がめざす未来」を明確にすること
採用ブランディングというと、デザインや表現、コンテンツづくりといった「伝え方」に目が向きやすいですが、その前に欠かせないのが、「企業としてどんな未来をめざしているのか」をあらためて見つめ直すことです。
たとえば、
どのような考え方で事業を続けていきたいのか。
これから先、どんな社会や顧客に価値を届けていきたいのか。
そして、その未来に向かって、どんな人たちと一緒に歩んでいきたいのか。
こうした企業がめざす未来の姿が社内で共有されていくことで、採用活動にも自然と一貫性が生まれていきます。
発信するメッセージや伝え方に軸が通り、「なぜこの会社で働くのか」「どんな想いのもとで仕事をしているのか」が、ぶれずに伝わるようになります。
また、めざす未来や大切にしている価値観を言葉にして整理していくことで、その企業ならではの個性も少しずつ浮かび上がってきます。
「どんな未来を描いている会社なのか」「その実現に向けて、どんな姿勢で仕事に向き合っているのか」が見えるようになると、求職者も自分との相性を考えやすくなります。
その結果として、入社後のギャップやミスマッチが減り、企業と求職者の双方にとって、納得感のある採用につながっていきます。
企業がめざす未来や大切にしている価値観が整理できたら、次に考えるのは、それをどのように社外へ伝えていくかという点です。
その考え方や想いを、求職者に伝えるための中心的な役割を担うのが、採用サイトです。
採用サイトが担う役割と目的
採用サイトは、企業の考え方や魅力を、求職者に届けていくための大切なプラットフォームであり、採用競争が激化する現在においては「投資」として捉えるべき存在でもあります。
一般的に採用サイトは、「求人情報が掲載されているページ」というイメージを持たれがちですが、近年の採用活動の中では、その役割も少しずつ広がってきています。
求職者にとって採用サイトは、「応募するかどうかを考えるための、大切な判断材料のひとつ」です。求人広告や紹介をきっかけに興味を持った場合でも、多くの方が実際に応募する前に、企業の採用サイトを確認します。
- どんな職種があるのか
- どんな人が働いているのか
- 自分が働く姿がイメージできるか
- ここで働くことで、どんな成長ができそうか
こうした点を総合的に確認し、納得感が持てると、「この会社に応募してみよう」という気持ちにつながっていきます。
また、採用サイトは企業文化を伝える場としての役割も担っています。制度や福利厚生だけでなく、職場の雰囲気や社員同士の関係性、現場で大切にされている考え方など、企業の“内側”の様子を伝えることができます。
さらに、採用サイトは短期的な募集のためだけのものではなく、時間をかけて採用力を育てていくための“土台”のような存在でもあります。一度しっかりと整備しておけば、求職者が継続的に情報を見に訪れてくれるようになり、広告に頼りすぎなくても、応募の決め手をつくり続けることができます。
採用ブランディングを成功させるためのコンテンツ例
企業がめざす未来や、大切にしている価値観を採用活動に反映していくためには、より具体的な情報として表現していくことが欠かせません。
その際に重要なのは、企業目線で伝えたいことを並べるのではなく、求職者が「知りたい」と感じていることに、丁寧に応えていく視点です。
ここでは、採用ブランディングを考えるうえで、特に意識しておきたいコンテンツの例をご紹介します。
①職種紹介|1日の流れや働き方をイメージしやすくする
企業がめざしている未来や価値観は、日々の仕事の中に最も自然な形で表れます。その「仕事のリアルな姿」を伝える役割を担うのが、職種紹介です。
たとえば、次のような情報です。
- 1日のスケジュール
- 1年を通した仕事の流れ
- やりがいや大変なところ
- 身につくスキルや求められる力
これらを具体的に紹介していくことで、求職者は自分が働く姿をよりイメージしやすくなります。「ここでならやっていけそう」「自分にもできそう」と感じてもらうことが、応募への大きな一歩になります。
②社員インタビュー|価値観や想いを「人」を通して伝える
企業がどんな未来をめざし、どんな価値観を大切にしているのかは、「人の発する言葉」から最も自然に伝わります。
「どんな人が働いているのか」は、会社選びの中でも特に関心をもたれやすいポイントのひとつです。
実際に働いている方の声やストーリーには、文章だけでは伝えきれない安心感や説得力があります。仕事への想いや入社のきっかけ、日々のやりがいなどを通じて、企業が大切にしている考え方や雰囲気が自然と伝わり、求職者との距離も自然と縮まっていきます。
③制度・福利厚生|めざす未来を「働く環境」で支える
企業がどんな未来をめざしているのかは、制度や働く環境にも表れます。
勤続年数、男女比、有給休暇の取得状況、残業時間などのデータは、「安心して働ける職場かどうか」を判断するための大切な材料です。
数字を交えて伝えることで、職場の実情がイメージしやすくなり、入社後のギャップや不安を和らげることにもつながります。企業がめざす働き方や考え方を、制度という形でどのように支えているのかを示すことも、採用ブランディングにおいて欠かせない要素です。
④企業理念・歴史|めざす未来を言葉で伝える
理念やこれまでの歩みは、「この会社がどんな考え方で事業を続けてきたのか、そして、これからどんな未来をめざしているのか」を伝えるための手がかりになります。
求職者は、仕事内容だけでなく、自分の価値観と会社の考え方が合っているかどうかも大切にしています。理念やストーリーを通して、会社の“芯”の部分が伝わると、共感や信頼にもつながり、入社後の納得感も高まっていきます。
⑤写真・動画|めざす未来の「空気感」まで伝える
企業が大切にしている想いや職場の雰囲気は、言葉だけでは伝えきれない部分も多くあります。
写真や動画は、そうした空気感や温度感まで伝えられる表現手段です。
実際の職場の様子や人の表情を知ることで、求職者は「ここで働く自分」をより具体的に想像できるようになります。そのリアルさが、「もう少し詳しく知ってみたい」「応募してみようかな」という前向きな気持ちにつながっていきます。
【事例紹介】採用ブランディングで企業の魅力を“見える化”した取り組み
企業がめざす未来や大切にしている価値観を、採用活動の中でどのように“見える形”にしていくのか。
ここでは、企業の想いや方向性を起点に採用ブランディングに取り組んだ当社(セキ株式会社)の実績を通して、その考え方とプロセスの一部をご紹介します。
詳しくはこちらのページをご覧ください。

SEKIディレクターのこだわり
本サイトの制作においては、「働く魅力」をリアルに伝えることを重視しました。制作前には若手社員の方々に座談会に参加していただき、現場の声から企業の魅力の解像度を高めていきました。
座談会で抽出した具体的な魅力に、ディレクターとしての客観的な視点を加えてブラッシュアップしました。
社員のみなさまとのコミュニケーションを通じて得られた“肌感覚”も、サイトのオリジナリティにつながっています。特に「データで知る」ページでは、数字やビジュアルを用いることで、働く環境を直感的に理解できるページにしました。
私が大切にしているのは、企業のブランドやアイデンティティは「人」がつくるものだという考え方です。今回、座談会にご協力いただいた社員のみなさまのおかげで、愛媛日野自動車さまの「人」を起点に企業の魅力を見出し、それを表現することができたと感じています。
まとめ:採用ブランディングの本質は「魅力を正しく伝えること」
採用ブランディングは、採用のための施策であると同時に、企業としてどこへ向かおうとしているのか、どんな価値観を大切にしているのかを見つめ直し、社内外に共有していく営みでもあります。
安定性や技術力、社内の雰囲気、働きやすい環境など、企業には本来さまざまな魅力があります。けれども、それらが「どんな未来をめざす会社なのか」という文脈と結びついて伝わらなければ、求職者にとっては断片的な情報にとどまってしまいます。
採用サイトは、そうした企業の魅力と、めざす未来をあわせて“見える形”にし、求職者に届けるための大切な場です。
「採用に課題を抱えているご担当者さま」や、「採用サイトのリニューアルや新設を検討されているご担当者さま」は、まずは自社がどこへ向かい、何を大切にしているのかをあらためて整理することから始めてみてはいかがでしょうか。その想いを求職者目線で伝え直すことで、採用活動にも少しずつ前向きな変化が生まれてくるはずです。
当社(セキ株式会社)では、この他にも多数の実績がございます。
「変えたいとは思っているけれど、どうしていいのか分からない」「何から始めたらよいのか迷っている」——そんな段階からでも構いません。
“御社の採用ブランディング”をともに考え、実践するパートナーとして、ぜひお気軽にご相談ください。










