
観光地に人を呼ぶ!Instagramで魅せるリール動画の作り方と地域プロモーション
- WEB・デジタルマーケティング
皆さんは、旅行先を選ぶときにどんな情報を参考にしていますか?
以前はテレビや旅行雑誌というパターンが主流でしたが、近年は「SNSで見た投稿をきっかけに行きたくなる」という声がぐんと増えています。SNSで流れてくる短い動画に収められた、魅力的な観光地の様子をつい最後まで見続けてしまう、といった経験もあるのではないでしょうか。
特にInstagramのリール(ショート動画)は、短い時間のなかで観光地の空気感やワクワク感を表現できるため、地域プロモーションに最適なマーケティング手法として注目されています。
今回は、そんなInstagramの動画投稿を使った、PR動画の撮り方や観光誘致のためのプロモーション活用術について、当社(セキ株式会社)の事例と合わせてご紹介します。
目次
なぜ観光PRにInstagram動画が効果的なの?
Instagramの機能の中でも「リール(ショート動画)」は、写真のような静止画では伝えきれない現地の空気感や臨場感を伝えるのにとても有効なPRツールです。
観光地や地元の魅力を伝えるには、五感で感じてもらうことが最も効果的。その体験を数十秒に切り取って発信できるInstagramは、観光プロモーションととても相性の良いSNSです。
①SNSの変化:静止画 → 動画へのシフト傾向
Instagramでは写真よりもリール(ショート動画)の方が伸びる傾向にあります。
これはアルゴリズムの構造上リール動画が届けやすい設計にあり、フォロワー外のユーザーに短時間で広く拡散できることによるもので、観光PRにうってつけです。
以下の表ではInstagramの機能と投稿が表示される場所をまとめています。
| 投稿形式 | 表示される場所 | おすすめの投稿内容 |
|---|---|---|
| フィード (写真) | ホーム画面/プロフィールの投稿タブ | 絶景写真・名物グルメ・宿泊体験・丁寧に見せたい写真投稿 |
| リール (動画) | リールタブ/ホーム画面/発見タブ | 観光地紹介・体験動画・散策・食べ歩きなど「動き・臨場感」を伝える短い動画 |
| ストーリーズ | ホーム画面上部 | 最新情報・イベント告知・リアルタイム更新・裏側紹介 |
| ガイド | プロフィール内のガイドタブ | 旅のモデルコース・おすすめスポットまとめ・地域グルメ紹介 |
②視覚・感情に訴える動画の強み
例えば、木々を揺らす風の音や、青い波の押し引きする動き、朝日の昇る瞬間、イベントで盛り上がる人々の熱気など、さまざまな空気感を伝えることができます。動画を見たユーザーが疑似的に体験し、短い時間で「行ってみたい」と思えることが、リール動画の最大の強みです。
視覚だけでなく動きで魅せるためには、臨場感やライブ感、没入感を意識して、数秒のうちに見た人の感情へ訴えかける「心を掴むための訴求」をすることがポイントです。
③フォトジェニックだけじゃない、「体験欲」を刺激する投稿
「インスタ映え」という言葉が流行していたように、かつては写真映えするような観光スポットが人気を博していました。現在はそこから、その場所で何ができるか、どんな体験が待っているのかという点に価値を置く傾向に移りつつあります。
旅行者の求める体験として、上げられるのは、食やアクティビティ、伝統、交流などです。
例えば
- ご当地グルメを作るシーン
- 伝統工芸の手作り体験
- サイクリング風を切りながら自然を感じる
- 地元の方とのふれあい
このような体験を動画で発信することで、「地域のストーリー」を自然と伝えることができます。
観光PRに便利な「投稿フォーマット」設計
実際にリール動画を上げていくにあたって、「なんとなく雰囲気の良いもの」を投稿しても、思ったように反応をもらえない…といったことになりかねません。それは、更新しているうちに伝えたい相手や届けたいことがブレてしまい、内容に統一感がなくなってしまうなど、全体的にわかりづらい印象を与えてしまうからです。
そこで、観光地や地域の魅力をInstagramでより印象的に伝えるために、テーマとフォーマット(型)を決めて発信していくことをおすすめします。
伝えたい景色・食・人といった、多様な体験の素材を組み合わせる場合も、このテーマとフォーマットをきちんと設定することでアカウント全体に統一感を出すことができます。
ペルソナ設計と目的別のテーマ設定
インスタを投稿していく前に、初めに行うのはターゲットの「ペルソナ設計」、そして「目的別」のテーマ設定です。
まずは、情報を誰に、どんなことを届けたいのかを明確にしましょう。観光PRでは “誰の行動を変えたいのか” を最初に決めることが重要です。ペルソナ設計が曖昧なままだと、結果的に「誰にも刺さらない動画」になりやすいため、投稿前に必ず整理すると良いでしょう。
例えば、20代女性をターゲットにしたグルメ旅をテーマに設定した場合は、食を楽しむことを目的とした「ここでしか味わえないローカルグルメ」を紹介します。食材の質感や分かるアップの映像や、温度が伝わるような湯気を写したり、作り手の手元の所作、食べ歩きのシーンなどを見せたりと、旅の想像ができるような構図を意識すると、実際にできる体験が伝わりやすくなります。
【事例紹介】Instagramリール動画を活用した「予土まち散走」映像プロモーション
ここからは当社で行った、Instagramを使ったプロモーション事例をご紹介します。
「予土まち散走」とは、高知県と愛媛県を結ぶローカル鉄道「JR予土線」沿線地域の美しい風景や、サイクリングに適した自然風景の活用を目的とした、予土県境地域連携実行委員会様によるサイクリング企画です。2022年より当社が関わらせていただいており、2025年度には、これまで実施していたスタンプラリー企画から、Instagramのリール動画を活用したプロモーションへシフトし、地域のPRを行いました。
当事例では企画から動画撮影、投稿まで当社で一貫して行い、地域ならではの情報や新しい魅力を多くの方に知ってもらうための情報を発信しました。
投稿動画では、できる限り地元の方にもご出演いただき、実際にサイクリングを行っているような旅のストーリーを動画にしています。
地域全体での参加意識も生まれ、町の空気感が伝わる投稿には観光客の方々からも良好な反応をいただいています。
こちらの事例の詳細は、下記よりご覧ください。

SEKIディレクターのこだわり
愛媛といえば、しまなみ海道でのサイクリングが国内外から注目されている一大観光コンテンツです。
今回南予地方でもサイクリングを軸とした観光施策をというご相談をいただき、実証実験としてデジタルスタンプラリーを3年間実施し、4年目の今年度はInstagram運用に挑戦しました。
Instagramの主流が静止画から動画へと移った今、「予土まちでやりたいことリスト」シリーズとしてエリア内のグルメや体験コンテンツ、絶景をリール動画にて投稿しています。シリーズものにすることでアカウントの統一感が出ること、毎投稿に「#01」のように番号を付与することでユーザーさまにも「続きの投稿があるんだな」とアカウントを訪れてもらえるような導線づくりを行いました。
地域の魅力を伝えるために心がけたのは「なるべく地域の方にご出演」いただくこと。
過度な演出を控え、その場のゆるやかでリアルな空気を画面の向こう側に伝えたくて、許可をいただけた場合はご出演いただいています。
見どころは、私と営業担当が頑張って自転車を漕いでいるので、応援していただけるとうれしいです(笑)
実践編|インスタリール動画の投稿設計と運用ルール
保存・共有されるための「役立つ/魅せる情報」を発信しよう
多くのユーザーに保存や共有をしてもらうために、抑えておきたい2つの軸を投稿設計に組み込んでおきましょう。ひとつはユーザーの「行きたい」を引き出す現地の魅力を発信する投稿。もうひとつは、実際に訪れようとしているユーザーに向けた「お役立ち」情報です。
- 魅力を発信する投稿:絶景の時間帯・ライトアップ・季節限定の景色や食材など
- お役立ち情報の投稿:アクセス方法・所要時間・混雑する時間帯・近くの飲食店情報など
この2つを軸にしておくことで、新たに観光に訪れてくれる見込みユーザーと、実際に訪問してくれるユーザーのどちらのニーズも満たすことができます。
ハッシュタグと位置情報の活用
ハッシュタグは写真・動画どちらの場合でも活用必須の要素です。観光地などの地域PRの場合は特に「地名×体験」や「地名×グルメ」などで検索されることが多いため、より検索されやすい組み合わせで使用するとリーチを伸ばすことができます。
また、位置情報の設定も単純に地域名のみを使用するのではなく、近隣のランドマークの情報を入れるなど、使い分けをすることで周辺エリアからの流入が見込めます。
チャネルの使い分け(フィード/リール/ストーリーズ)と投稿頻度
観光向けアカウントの場合、多くの場合「今日行く前に役立つ情報」であるか「週末の予定の決め手になるか」などという点を意識して投稿内容を考えていくことも、集客につながるポイントになります。古い情報を置いたままにせず、常にリアルタイムの情報発信をしていくことも大切です。特に動画を主とするストーリーズとリールに関しては、以下のような点を意識して使い分けると良いでしょう。
- リール:新規ユーザーへの到達が最も強い。短尺で“体験の魅力”を伝え、訪問意欲を刺激
- ストーリーズ:現地のライブ感や速報を届ける場所。天候、当日の混雑状況、イベントの裏側など
観光地の魅力を引き出す「撮影のコツ」
短時間で観光地の体験を伝えるにはリール動画は最適な手段です。動きやストーリー性のある動画はユーザーの興味や訪れたいという気持ちを引き出しやすい傾向にあります。
次に、実際に動画を撮影する際のポイント3つご紹介します。
① 景色・自然を“動き”で魅せる(推しスポット紹介に最適)
静止画では伝わりにくい“空気の流れ”や“広がり”を見せられるのがリールの強み。
観光地PRで人気なのが、スマホを使ったやさしい動きのある撮影です。
【例】
・スマホをゆっくり横に振るパンショット
・ドローンのような上昇ショット(手持ちでも可)
・朝の光・夕景など“時間の変化”を狙う
②体験型リールで「行った気分」をつくる(〇〇体験の1日)
観光PRで伸びやすい傾向にある「体験」をテーマにしたストーリー構成。
30秒の短い動画でも旅の一日をしっかり表現できます。
【例】
・入口 → 体験 → クライマックス → 余韻の構成
・手元のクローズアップ(湯気・食感・水しぶき)
・30秒で旅のストーリーを完結させる
③ 歩き撮影で“旅してる感”を演出する
実際に観光地を歩くシーンは、リールでも人気のある撮影方法のひとつ。
“視点が動く動画”は臨場感が高く、ユーザーの滞在時間も伸びやすいといわれています。
【例】
・道の先にある見どころへ連れていくように撮影
・スマホは胸元固定でブレを抑える
・自分の足元や影などあえて人物を入れて臨場感UP
ご紹介したものは一例になりますが、ぜひ実際の観光PR用動画の参考としてみてください。
まとめ
Instagram、とくにリール動画は、地域の魅力を短時間で伝えられる、観光プロモーションに最適なツールです。写真だけでは伝えきれない、空気感や臨場感を届けることで、ユーザーの「行ってみたい」を直接刺激することができます。
また、テーマやフォーマットを統一することでアカウントの世界観が整い、保存・共有されやすい投稿が増えていきます。撮影のちょっとした工夫やストーリーズ・リールの使い分けを押さえることで、観光地の情報がより多くのユーザーに届き、訪問意欲の高い層へ効率よくアプローチできます。
「地域の魅力をもっと知ってほしい」「観光誘客の新しい施策を探している」という自治体・観光担当者の方は、まずはInstagramで発信する“体験のストーリーづくり”から始めてみてください。SNSを通じた地域プロモーションは、観光地の新たなファンづくりにつながります。
当社(セキ株式会社)では、SNS運用を含めた地域プロモーションやブランディングについての実績がございます。
企画・分析から実際の撮影、投稿までトータルでお力になれますので、地方PRやインスタの運用にお悩みのご担当者様も、ぜひご相談ください。
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